尋常性乾癬



乾癬とは慢性の皮膚疾患で、人によって症状や発症する場所が異なりますが、典型的な症状として、皮膚から少し盛り上がったの上に銀白色のフケのようなものが付着し、ポロポロとはがれ落ちる皮膚の病気です。 国内の患者数は10万人(1000人に1人)以上といわれており、「かんせん」という名前から誤解されやすいのですが、他の人に感染する疾患ではありません。 乾癬の原因については色々な研究が進んでいますが、まだ解明されていません。
乾癬になりやすい体質があり、そこに感染症や精神的ストレス、薬剤などのさまざまな要因が加わって発症すると考えられています。 糖尿病や脂質異常症(高脂血症)、肥満なども影響するといわれています。





[尋常性乾癬の治療]


①外用(ビタミンD3、ステロイド)
  ステロイド、ビタミンD3外用剤、ステロイドとビタミンD3合剤を使用します。(下写真)



②光線療法(ナローバンドUVB、エキシマライト)
  ナローバンドUVB、エキシマライト(下写真)などの特定領域の波長の紫外線は、この病気に効果があることがわかっています。
週1~2回で照射して症状を改善させ、2~3週間に1回照射して維持療法を行います。

『ダブリン3シリーズ(全身照射型ナローバンドUVB)』
TL-01型ナローバンドUVB電球が48本と国内最高のスペックを誇ります。


『VTRAC(ヴィトラック:ターゲット型エキシマライト)』
150mW/cm2という国内最強のスペックを誇るエキシマライト治療器です。


全身照射型は広範囲に広がる病変に効果を示し、ターゲット型は難治性の部位や限局した病変に効果を発揮します。

③内服-1(シクロスポリン、チガソン)
  シクロスポリンとレチノイドの2つが保険適応です。かなり難治性の患者さんに使用します。
治療効果は高いのですが、それぞれ副作用があります。 他の治療法とローテーションを組んだり(ローテーション療法)、少ない量で治療(低容量シクロスポリン内服療法)して副作用がでないように工夫をしています。 またレチノイドは、光線療法との併用も有効です。

④内服-2(オテズラ)
  2017年3月に発売された経口PDE4阻害剤です。中等症から重症の患者さんに使用します。 効果は生物学的製剤には劣りますが、価格と安全性という点で海外では人気が高い薬剤です。



⑤生物学的製剤
  これまでの治療で効果がみられない患者さんには、バイオテクノロジーを用いて開発された「生物学的製剤」が用いられます。 皮下注射と点滴の2種類があり、病変部位に大量に出ている炎症にかかわる物質を抑制する働きがあります。


(写真:福井赤十字病院皮膚科提供)

[ 利点 ]

次元の違う効果。従来の治療で効果がないケースでも劇的に改善する可能性がある。
通院頻度が少なくて済む(3ヶ月に1回の受診)。
[ 欠点 ]

治療費が高い。
副作用の問題。定期的な検査でチェックする必要がある。

クリニックでの生物学的製剤治療は、当院が北陸で最初に開始し実績を重ねています。 現在この治療をクリニックで行っているのは、福井県では当院のみです。