赤あざ・血管腫



[苺状血管腫(イチゴ血管腫)]



苺状血管腫は、下写真のように表面顆粒状(ぶつぶつとした)鮮紅色で、正に苺のような外観を呈する血管腫です。 生後1歳までに急速に増大していきます。
自然消退傾向があるため、治療しないで経過観察する「wait and see policy」が一般的であり、10歳頃までには、90%が消退するとされています。 しかし、消退後にすべてが健常な皮膚になるわけではありません。4割程度は、萎縮性の皮膚や毛細血管拡張が残るとされています。



治療法は、①wait and see policy、②色素レーザー治療、③ステロイド局所注射や全身投与、④プロプラノール全身投与があります。

色素レーザー治療
特に、局面型の苺状血管腫に効果が高く、半年以内にかなり改善します。 また、早期に行うことで、腫瘤型への増殖変化を抑えて、結果的に皮膚の萎縮性変化を避けるとができます。

[単純性血管腫]

赤あざの一種である単純性血管腫は色合がワインに似ていることからポートワイン血管腫とも呼ばれ、真皮の毛細血管の局所異常で均一の紅斑を呈します。実際の色は明るいピンク色から濃い紫色まであります。
生下時よりみられ自然消退しませんが、皮膚の厚さが加齢に伴って厚くなるため褪色する場合もあります。しかし反対に色が濃くなったり、腫瘤を形成する場合もあります。
発生頻度は男性より女性に多く、顔面と頚部に発生することが多いといわれていますが、四肢にできるケースも多いです。



単純性血管腫は、大人よりも小児の方が効果が高く、乳幼児期にレーザー治療を受ければかなりの確率で薄くできることが可能です。



青あざ




青あざとは、メラニン細胞(黒色)が皮膚の深部(真皮)にあるために青くみえる先天性の色素斑をいいます。 異所性蒙古斑太田母斑などがあります。レーザー治療でほぼ消失することが可能なあざです。

[異所性蒙古斑]

蒙古斑は、黄色人種なら100%にみられ、10歳前後には消退します。しかし、3~4%は成人になっても持続します(持続性蒙古斑)。
さらに、四肢、体幹にできるものは、異所性蒙古斑と呼ばれ完全に消失することはありません。 異所性蒙古斑の治療時期はケースバイケースですが、小児期に治療した方が治療面積が少なく、皮膚が薄い分治療回数が少なくて済みます。



治療方法は、Qスイッチレーザーのみです。年齢が若いほど効果は高く、乳幼児期であれば1~2回程度の治療回数でもかなり薄くなります。

[太田母斑]

太田母斑は顔面に生ずる青アザで、通常、顔の片側に生じます。しかし稀に両側性に生ずることもあります。 皮膚病変は生後半年以内に生ずることが多いのですが、出生時に存在することは稀です。 また思春期に色が濃くなったり、新たに色素斑が生ずることがありますが、20~40歳台に発症することも稀ではありません。
典型的な太田母斑は青紫色から灰紫青色で、そこに薄い褐色の小色素斑が混在します。



治療法は、Qスイッチレーザーです。病変部の大きさにより治療回数はかわりますが、通常は5回程度以内に色素斑は消退します。